アバターに始まった今回の3Dブームを「第三の波」と称しているようですが、その意味には二種類あるようです。
一つはサイレントからトーキー(第一の波)、白黒からカラーへ(第二の波)に続く第三の波という意味。
http://trendy.nikkeibp.co.jp/article/pickup/20081030/1020459/
もう一つは立体協で言っている、第一の波(1950年代)、第二の波(1980年代)に続く、第三の波で、これはいずれも3Dの話ということのようです。
http://rittaikyo.jp/gaiyou/gaiyou/
残念ながら私には3Dの第一の波、第二の波の記憶がないので、これまで前者の意味だと考えていました。ここでは前者の意味を仮定して話を進めます。
ご存じの通りサイレントからトーキー、白黒からカラーの移行はほぼ完全に実行され、客観的に見ても必然だと感じます。これに対して2Dから3Dへの移行にはたして必然性はあるでしょうか?私はないと思います。
たとえ3Dメディアが普及しても、2Dメディアの価値がなくなるわけではありません。これはテレビが普及してもラジオがなくならないのと同じで、2Dの方が3Dより都合が良いケースは少なくないと思います。テレビがステレオ音声になっても、モノラルで十分と考えている人はいるでしょう。つまり必要としない人には明らかなオーバースペック、大きなお世話なのです。
「第三の波」という言葉を聞いた(見た)とき、これをスローガン(セールストーク)に使ったら、きっと失敗するなと感じました。3Dは2Dに置き換わるものではないと思うからです。
一昔前、ドルビーサラウンドが流行ったときに私もサラウンドアンプを買いました。確かにサラウンドは普通のステレオにない迫力がありますが、そのために誰もがサラウンドアンプとセンター・リアスピーカーを買うとは思えません。こういった付加価値商品は、あくまでマニアのためのものでしょう。
3Dもやはりマニア向けの高付加価値商品であって、サイレントがトーキーになり、白黒がカラーになったように、すべてのテレビが2Dから3Dに変わることなどはちょっと考えられません。「第三の波」の話は明らかに妥当性を欠いていると思います。
・・・<さらに続く>